ゼオンメディカル ケースレポート
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胃ESDにおけるS-O clip®使用のコツ
Abstract
当科ではS-O clip®の発売以来、まず大腸ESDにおいて導入した。その優れたトラクションは既報の通りであり、胃のESDにおいても有用な場面が多いと考え、2016年より胃ESDでも活用している。 S-O clip®の構造は内視鏡用クリップとバネ状の弾性素材、ナイロンループがつながった構造となっている(図1,2)。S-O clip®を病変の粘膜端に装着し、普通のクリップでループ部をすくって胃壁に装着すれば、胃壁と病変のあいだにトラクションが発生する。 S-O clip®の装着は2-3例経験すれば、3分程度で完了できる。装着後は、胃内の送気によってトラクションの程度を好みに調節できる。同じようにトラクションをかける他の方法と比較すると、トラクションの方向を好みに設定できること、スコープの抜去や挿入に干渉しないことにメリットを感じる。病変の切除が完了した後は、ループ部を電気メスで切除し、病変はS-O clip®が装着した状態で回収する。回収後に病変からクリップを外すのは容易で、病変にクリップで損傷をおこしたケースは経験していない。以下にS-O clip®を用いた胃ESDの症例を提示し、その有用性と注意点およびS-O clip®活用のコツについて紹介したい。